1.退職の手続きと準備

退職届を書く前にやることbusiness_think

退職届けを書く前には必ず「本当に今、退職をするべきか」ということをしっかりと考えておきましょう。退職する要因は様々で、中には「こんな職場耐えられない」と、ついつい感情的になって退職を決意される方がいらっしゃいます。しかし、感情に任せて本当に退職するべきなのかを充分に考えましょう。

「退職後の生活は大丈夫なのか」
「転職先を見つけてからでも遅くないのではないか」
「本当に今の仕事をやめるべきなのか」

を今一度冷静になって考えてみましょう。また、自身が悩みを抱えている際、往々にして視野が狭くなっている方々がほとんどです。できれば、家族、友人、恋人ではなく、ハローワークの相談員、民間の人材会社のキャリアコンサルタントなどのキャリアの専門家に一度相談することをお勧めします。冷静になって、自分の現状と今後についてしっかりと考えてから退職届を書くようにしましょう。

 

退職届、退職願、辞表の違い

会社を退職するには主に以下の2つの方法があります。

・会社に退職の希望を示し、会社から合意が得られたら辞める方法 → 上司に退職願を提出
・会社に対して一方的に退職の最終意思決定を通告する → 上司に退職届を提出

「退職願」
business_taisyoku_negai一般的に「自己都合」による退職の際に使います。自分から会社に退職を願い出るための書類であり、双方の合意により雇用契約を解約してもらうための申出です。退職するためには、まず退職願を上司に提出し、それが人事権を持った人に届き、退職の承認がなされて、初めて法的に有効になります。退職願はあくまで申出ですので、退職願を提出した時点では退職とならず、会社が承諾するまで撤回することができます。円満退職を望むなら、「退職願」を提出するようにしましょう。

「退職届」
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退職届は会社への最終的な意思表示であり、退職届が受理されると、退職となります。退職願と異なり、特別な事情がない限り、撤回することはできません。一般的に「会社都合」による退職の際に使います。
※会社都合による退職とは、解雇やリストラ、希望退職制度に応募など、会社から退職を勧められることです。

「辞職願(辞表)」
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役員のように役職のある人(または公務員)がその職を辞める際に使います。正式には辞表願と言います。会社と雇用契約を結んでいる従業員が会社を退職する場合には退職願を提出しますが、役員と会社は雇用契約はなく、別に委任契約(会社の経営を役員に委任する契約)を結んでいますので、その職を辞めたい場合は、辞表願を提出します。

まとめると退職届、退職願、辞表の違いは以下になります。

・自己都合による退職を希望する場合は、「退職願」を提出
・リストラなど、会社都合による退職の場合は、「退職届」を提出
・役員や公務員の場合は、「辞表願」を提出

 

退職届を書く前に、退職までのスケジュールも考えよう

退職の意思が決まったとしても、すぐに退職届や退職願を書くのは辞めましょう。まずは、退職までの大まかなスケジュールを自分で作成し、円満退職に向けてどのように進めて行くかなどをしっかりと考えておく事が大切です。理想のスケジュールを以下にまとめましたので、参考にしてください。techou_open

【退職日の1~2ヶ月前】

あなたの仕事の引き継ぎや後任者の手配などを考えると、円満解決を望むなら、この時期に退職の意思を告げましょう。退職日が繁忙期の時期と重なってしまう場合は、もう少し前から退職の意思を会社に告げてあげても良いでしょう。

【退職日の2週間前】

後任者が決定次第、後任者にあなたの仕事の引き継いでいきます。営業の人は後任者と同行して挨拶をすべきお客様か、お電話のみでの挨拶でも問題ないかをじっくりと検討した上で、計画的に業務の引き続きを行います。

【退職日の1週間前】

後任者の業務の引き継ぎを行いつつ、仕事上お世話になった人への挨拶状を準備しましょう。また、退職に向け、会社に提出する必要のある書類の準備やあなたのパソコンデータやデスク回りのものの整理を行います。

【退職日の前日】

会社で使用したデスク、ロッカーなどを整理し、会社に返還する必要があるものや、破棄するもの、自宅に郵送するものなどを整理しましょう。

【退職日当日】

上司や同僚へ退職の挨拶を行います。直接、退職の挨拶ができない場合は、退職の挨拶メールを作成して、送信するようにします。

※上記は一般的に理想としているスケジュールです。退職時に時間を取られるのは一番引き継ぎの業務です。後任者も多忙である中、自身の都合だけで引き継ぎを進めるのではなく、相手の状況をしっかりとみて、適宜引き継ぎをしていくようにしましょう。

 

退職届を出すタイミングと時期について

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退職願(退職届)は上司に退職を承認してもらったら、すぐ提出するように準備しておきましょう。提出先は直属の上司で問題ありません。ただ、上司に渡すタイミングはある程度考えましょう。他のメンバーがいる中で渡すとメンバー内の雰囲気がぎくしゃくしたりしてしまいますので、上司を別室に呼び出して提出する、早朝や夜など回りに人が少ない時間帯を見計らって提出するなど回りへ配慮しながら提出するようにしましょう。
また、上司も人間です。機嫌が良いときもあれば、悪いときもあります。仕事が忙しい時に退職届を出すと、上司が感情的になる可能性があります。上司や同僚の状況をしっかり把握して退職届を提出しましょう。

 
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