2.退職理由の伝え方
目次
退職理由の基本
上司に退職理由を伝える際には、ありのままに思ったことや感じたことを伝えれば良いということではありません。仮に上司が理解を示してくれていたとしても、そのような退職理由は必ず上層部や同僚の耳に届きます。そのため、後々の人付き合いが難しくなることもありますので、できるだけ伝え方を工夫して、上司に伝えるほうが良いでしょう。基本的には、社内の不満や不安といったネガティブなことを上司に伝えるのではなく、次の会社に焦点を当てて「次の会社で○○をしていきたいから退職をしたい。」と、お互いが前向きになるような退職理由を伝えるようにしましょう。
以下さまざまなケースでの伝え方です。
【会社に関する退職理由】
会社の業績が悪く、将来性が不安
会社の業績が悪化し、将来性が不安という場合、退職理由を会社側にそのまま伝えてしまうと、ネガティブな印象を与えてしまいます。他の社員は、そんな状況下でも業績を何とか立て直そうと頑張っているのに、なぜそんなことを言うんだ!と言われる可能性があるからです。この場合は「なぜ業績が悪いのか?」「なぜ将来性が不安なのか?」という原因をまず探ってみましょう。原因を探ると、業績が悪いのは「今までの古いやり方を変えないから」「意見を求められるが、結局は権力がある人の意見に決まる」「人が定着していないので、一人当たりの仕事量が多くなり、結果的にお客様に提供する質が下がってしまっているから」などの原因が出てきますので、出てきた原因を元に「だったらどうしたい?」と前向きに変換してみましょう。
例えば、
「今までの古いやり方を変えないから」→「新しい改革や試みを試す環境で頑張りたいと思うようになりました」
「意見を求められるが結局は権力のある人の意見に決まる」→「社員の意見がより反映されて、実現できるような環境で、チャレンジしたいと思うようになりました」
「人が定着しないので、一人当たりの仕事量が多くなり、結果的にお客様に提供する質が下がってしまっている」→「多くの業務をこなすということを今の会社で学ぶことができましたが、お客様に対して、よりご満足をいただけるような密度の濃い仕事をしてみたいと思うようになりました」
というように、業績が悪い理由、将来性がない理由を分析し、「だったらどうしたい?」と問いかけることにより、ポジティブな退職の目的が現れてきます。退職理由を聞かれた際は、このポジティブな目的を伝えるようにしましょう。
会社のモラルが自分と合わない
会社がやっていることが法律に抵触はしていないものの、会社のやっている行動が自分の倫理観やモラルと合わず、苦労をしている方も多いと思います。円満退職をする際には、「会社のモラルが自分と合わないので」とストレートに言うのは控えて、今の会社のどういうところを不満に感じているのかをしっかりと分析してみます。不満や不安は、心のなかで「●●したい」という思いの現れでもありますので、
「今の仕事では多くのことを学ばせていただいたのですが、今度は●●のような環境でチャレンジしてみたいと強く思うようになりました。」
というようなポジティブな退職の目的を探し、前向きに伝えられるように準備をしてみましょう。
社長のやり方についていけない
中小企業やベンチャー企業を退職する方で多い退職理由の1つです。入社時は社長のカリスマ性に惹かれて入社したものの、実際に入社して何年か仕事をしてみると、昨日まで言っていたこととまったく違う方向性のものを提示するように言われる、思いつきで言うことが多過ぎる、細かいことまで社長が首を突っ込んでくる、夜遅くや休日にも平気でメールや電話がかかってくるなど、ワンマン社長に苦労している方も非常に多いと思います。この退職理由の際には、社長に対して「ついていけません」とストレートに言うと、退職する時に肩身の狭い状況になってしまう可能性が高くなります。そうならないためには、まず、社長から学んだことをいくつか告げた上で、「もっと●●したい」という前向きな退職の目的を見つけるようにしましょう。
「この会社に入って、社長と近い距離で仕事をさせてもらい、仕事に対しての情熱や価値観など社長から学ぶことができました。しかし、もっと自身が社会人として成長していくためには自分で考えたことを自分でチャレンジできる環境にあるべきではないのか、と考えるようになり、退職を決意致しました」
いくら嫌な社長だったとしても、その社長から学んだことがない訳ではありません。円満退職をするためにも、伝え方に気をつけて、退職する旨を伝えましょう。
同族企業で出世が見込めない
会社の経営陣が家族や親戚で占められているという会社も多いものです。経営陣が家族や親戚だけで成り立っている企業のことを同族企業と言いますが、同族企業といっても、全てを否定的にとる必要はありません。同族企業でも、家族の問題を会社の中に持ち込まず、優秀な叩き上げの社員が経営陣に参加できている企業も多数あります。しかし、残念ながら、家庭や家族の問題を会社に持ち込んで、会社の雰囲気が悪くなったり、出世をするのが経営陣の家族や親戚のみであるという会社も多いのが現実です。このような会社の社員の場合、いくら実績を出して、出世やキャリアアップ、給与アップを望んでいても、なかなかその通りにいかないケースも多いと思います。「自分の実力を認めてもらえない」という方や「会社に閉塞感がある」という方は、
「私は自分の実績がより給与や昇格に反映してもらえるような環境でチャレンジしたいと思うようになりました。」
と伝えるようにすると良いでしょう。今の会社の不満をいうのではなく、今後どんな会社のどういう環境で働きたいのかというポジティブな退職の目的を伝えるようにしましょう。
離職率が高い
社員が定着せず、離職率が高い企業があります。繁忙期だけでなく、継続的に残業が多い、休日がない、会社もありますし、横柄な上司や陰湿な社員がいて、いじめやパワハラがあるという会社も多いのが現状です。今、インターネットやSNSを中心に、様々な情報を得ることができますが、離職率は入社をしてみないと分からないということが多くものです。万一、入社して離職率が高いことに気づいたとしても、すぐに退職を決断するのではなく、まずは何年か働いてみてから転職を考えるようにしましょう。企業側の視点からすると「転職歴の多さ」と「在籍期間の短さ」が書類選考で大きく左右するケースが多いため、早まった考えをするのではなく、自分が働いてみて、冷静に「自分は今の会社で継続していけそうなのか」考えるようにしましょう。将来的にこの会社や仕事を続けるイメージができない時は、転職理由(不満)を解消するには
「どういう会社のどういう環境でどのような人たちとどういう仕事をしたらいいのか?」
ということを考えてみて、前向きな退職の目的を考えるようにしましょう。。
【残業/休日に関する退職理由】
残業が多いのが耐えきれない
サービス残業が多い場合も、そのまま伝えるとネガティブな印象を持たれてしまい、他の社員は頑張っているのに、なぜあなたは我慢ができないのか、と逆に詰められる可能性があるため、「残業が多いから」とそのまま伝えるのではなく、以下のような伝え方をしてみましょう。
「今の仕事にやりがいを感じていますが、家族とのコミュニケーションをとる時間が取れないということが一番の理由です。」
「今後、長く働いていくことを考えると、ある程度、公私のバランスがとれるところで働きたい。」
「将来、●●を目指しており、●●の勉強をする時間をとりたい。」
今の会社のやり方を否定するのではなく、「●●したい」という変換をすると良いでしょう。
土日が休みではない
土日が休みではない場合は、もともとそれが分かっていたケースとそうでないケースに分かれると思います。もともと土日が休みではないことが分かっていたケースであれば、そのまま伝えてしまうと、「それはもともと分かっていたことではないか?」と会社側から指摘をされてしまいますので、そのまま言うのは避けましょう。なぜ土日が休みでないことが嫌なのかを分析します。家庭を持っている人は、「家族と関わる時間がほとんどなく、子供も小さいので家族サービスをしたい」と伝えると良いでしょう。独身の方は「土日休みの恋人や友達ともっと遊びたい」というのはNGです。「将来●●を目指しており、土日を利用して●●のスクールに通いたい」というように、「●●したい」けれども、土日が休みではないのでできない、というような理由を見つけて伝えると良いでしょう。ただし、特に目指すものがなかったり、土日でないとできないことがない場合には、土日休み以外の不満や不安もあるはずですので、違う不満や不安を反転して、ポジティブな退職理由とすることも可能です。
休みが取れない
残業時間はまだ耐えられるけど、忙し過ぎて休みがほとんど取れないという方も意外と多いと思います。特に販売や接客などのサービス業界では、アルバイトが急に休みになったので、休日を返上して出社せざるを得ないという声もよく聞きます。この場合「休みが取れないので会社を辞めたい」とストレートに言うのではなく、まず、休みが取れていないことを上司に相談して、調整をしてもらえないか、自ら行動を起こしてみましょう。行動を起こすことによって、上司や会社側が配慮をしてくれて、休みをもらえるケースもあります。それでも何の配慮や対策がないようなら、退職を決意しましょう。会社に伝える時には
「休みがとれないことで疲れが取れず、気持ち的にもリフレッシュできずで、精神的にも身体的にもきつい状況です。仕事も集中力に欠けてしまい、同僚やお客様にも迷惑をかけてしまっています。会社には改善してもらえるように働きかけてみたものの、なかなか難しい状況でしたので、今後は、週に数回はきっちり休んで、心身のリフレッシュをして、仕事の際にはより集中して打ち込みたいと思っています。」
というように伝えましょう。事前に行動して上司に働きかけているということもあり、このような伝え方をしても円満退職ができる割合が高いはずです。大事なのは、「もっと●●のような環境でやってみたい」という目的を入れて伝えること。不満だけをつたえると相手にネガティブな印象を与えますが、最後にポジティブな目的を追加することで、相手に伝わる時に不満が減少された形で伝わります。
【人間関係/社風に関する退職理由】
社内の人間関係が合わない
社内の人間関係が問題となり、退職をする場合は、本当のことを伝えてしまうと相手にとってもネガティブな印象を持たれてしまいます。ですので、人間関係が上手く行かなかったということをポジティブに変換するよう心がけましょう。例えば「周りとのコミュニケーションがなく孤立している状態」だった場合、
「この会社ではいい意味で個人主義で、そこから学んだことも多かったのですが、今後はもっと周りの人とチームを組んで仕事をやってみたいと思い、退職に至りました。」
というようにポジティブに変換して伝えるようにしましょう。
どうしても社風になじめない
入社してみて、社風を改めて感じることも多い中で、社風がどうしても合わないという方も多いと思います。「自分はそれほど積極的に人に話しかけるタイプではないのに、周りはそういう人ばかりなので、居づらい」という人や、転職である会社に入社したら、オフィスがパソコンのキーボードを打ち込む音だけがして、前職と全く違う雰囲気なのが息が詰まってしまう」など様々な悩みを抱える人が多いと思います。社風になじもうと自分なりに努力をしてみたものの、根本の性格やタイプが合わない場合は、これは仕方ないところもあるので、その場合は
「会社の○○のような社風になじもうと自分なりに努力をしてきましたが、どんなに努力をしても根本的な部分で自分の性格や価値観と合わないところがあるため、退職したいと考えています。」
と伝えてみましょう。ただし、伝える際には、今の会社の社風に対する不満をネガティブに感情的に言うのではなく、事実を客観的に伝え、それが自分と合わないことを伝えるようにしましょう。
上司からセクハラをされる
セクハラとは、セクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)のことで、セクハラ問題は女性が抱える問題の1つです。ある日をきっかけに上司から必要に迫ってくる、自分の権限を利用して、プライベートのメールアドレスや電話番号を教えるよう強要してくるということに悩んでいる女性も多いと思います。また、上司はセクハラだと思ってはいないが、会社の飲み会で寄った勢いでイヤなことを言われたなどの経験をされた方もいるでしょう。セクハラは受けた側がどう思うか?ということが基準になります。自分が我慢できないほどイヤな気持ちになった時点でセクハラになってしまうということです。この場合、上司に直接言うより、まず信頼できる第三者に相談するようにしましょう。大きな会社であれば社員の相談窓口を設けているところもありますが、そのような会社が多い訳ではありませんので、まずは会社の人事や社内の信頼できる人に相談し、そして、しかるべき機関に行って相談をするようにしましょう。国の機関であれば厚生労働省が各都道府県別に相談窓口を設けています。今の会社に退職の旨を伝える時には、セクハラに対する不満(許せない、腹が立つ、会社にいれなくしたいなど)を感情的に言いたくなる気持ちはよくわかりますが、感情的に伝えると、言われたほうにも反論や否定的な感情が出てきやすくなりますので、実際に起こった事実や出来事をできるだけ客観的にクールに伝えるようにしましょう。
上司からパワハラをされる
職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」によると「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」とされています。パワハラの事例としては以下のようなことがあります。
- 身体的な攻撃(暴行・傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
- 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
- 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
- 過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
- 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
会社という狭い世界の中で上司からパワハラを受け続け、悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。パワハラを受けた場合は、反面教師として、自分が先輩や上司となった場合には、こんな人間にはならないようにしようと、できるだけ距離をとって客観的に教訓にすることを考えてみると楽になる人もいますが、難しい場合は、社内の信頼できる人や人事部や総務部に相談をしましょう。自分の上司からパワハラを受けている場合は、他部署の上司や上司の上役にあたる人、または人事部や総務部に相談すればよいでしょう。パワハラへのしかるべき対応をしてもらえず、改善が見られない場合は、外部にある「都道府県の労働相談窓口や法律事務所」に相談すると良いでしょう。
ただし、いずれの場合も、パワハラがあったと認定するには事実(証拠)が必要ですので、上司からどんなことを言われたのか、どんなことがあったのか、しっかりとメモしたり、録音していると良いでしょう。
また、会社が何の対応もしてくれず、どうしても我慢できないと追い込まれた場合には、人事部や総務部に休職したい旨を申し出るのも1つです。そこで一旦パワハラの状況から解放され、心身をリフレッシュし、今後も今の会社で続けるのか、転職するのかをゆっくり考えることができます。転職を決意したなら、休職中に退職届を郵送し、そのまま退職することもできます。自らの健康を守ることが第一ですので、自分の心身が崩壊してしまう前に、何らかの行動をとるようにしましょう。
社内の人にいじめられている
会社の人からいじめのような扱いを受けて精神的にも悩んでいるという人も多いと思います。社内で信頼できる人に相談することがベストですが、社内には相談ができる人がいないというケースが多いと思います。このような状況が続くと、精神的に支障をきたし、その後、身体的にも体調を崩してしまうケースがほとんどです。まず精神的に異変を感じる場合は、心療内科などの専門家に相談をするようにしましょう。
そして、崩れたバランスを無理に治そうとしないことが重要です。身体的な体調を崩した場合であれば、同僚の人が気づいてくれてアドバイスなどをもらえることも多くなります。体調の回復まで、休職の手続きをしてくれる会社もありますので、退職のことを伝える前に、休職ができないか上司に相談しましょう。それでも難しく、どうしても退職をしたいという場合は、ストレートに
「●●の症状がでており、自分でも治そうと努力しておりますが、なかなか回復の兆しがありませんので一旦退職をして、病状を回復し、今後は●●に関われるような仕事に就きたいと考えております」
と伝えても良いでしょう。精神的に支障をきたしていないものの、一刻も早く退職を考えているという人は、いじめられたことに焦点を当てるのではなく、次の職場がどのようなところであれば「自分らしく働けていけるのか」ということを考えて、次に活かせるようにしましょう。「自分らしく働ける職場」は、今の職場の嫌なところや自分と合わないところをできるだけ具体的にして、その状態と真逆の状態となります。次の職場のイメージがついたら、
「今の仕事では、様々な価値観の人の中で多くの人生勉強ができたのですが、●●の業務をきっかけにして、もっと●●に携わりたいと思うようになりました」
と伝えるようにしましょう。
【給与/キャリアアップに関する退職理由】
給与が大幅に下がった
会社員であれば、会社の業績と給与が連動するのは当たり前ですので、給与が下がるということもあると思います。少しくらいであれば、何とかやりくりができるが、住宅ローン、車のローン、子供の教育費など必ず支払わないといけない支出を多く抱えている人は、退職を選択せざるを得ないケースも多いと思います。この場合、ストレートに「給与が下がったので退職します」と言うのはNGです。会社側としては、社員みんなが給与が下がっている状態で我慢をしているのに・・・とあなたに嫌悪感を持つ可能性があります。そのため、給与下がったことで起きた弊害や理由についても伝えるようにしましょう。
「実は、住宅ローンや子供の教育費など、支出面で家計が厳しくなっています。妻とも相談しながら支出を減らす工夫もしてみたのですが、このまま貯金を切り崩していくのはさすがに厳しいと判断しまして、現状通りの暮らしができるところでチャレンジしたいと思うようになりました」
というような伝え方をしましょう。会社側がそれならしょうがないと納得をしてもらえるような理由をきちんと用意すること、また、給与が大幅に下がったことをきっかけに「転職をするなら●●したい」という新たな目的もでてきていれば、それも伝えるようにしましょう。
給与が低い
給与が低いから退職したいという場合も、そのまま伝えるとネガティブな印象を持たれてしまいますし、他のみんなはその条件で頑張っているのに、なぜあなたは我慢ができないのか、と逆に詰められる可能性があるため、そのまま伝えるのではなく
「仕事は好きでやっていて、とてもやりがいを感じてはいましたが、もっと給与が高い会社で自分の力を試してみたいと思いました」「将来、住宅を購入する予定があり、もっと給与が高い会社で自分を試したいと思いました」
というような伝え方をしましょう。今の会社のやり方を否定するのではなく、「●●したい」という変換をすると良いでしょう。
給与が上がらない
長年勤めている会社で、客観的に見てもそれなりに実績を出しているし、会社に対して貢献してきていると思うが、入社した当時と比べると給与や賞与がほとんどアップしていないので退職を考えているという人も多いでしょう。仕事も充実しているし、それなりの役職にもついているが、業界の特性なのか、経営陣の方針なのか、それなりの報酬をもらえていない人は、誰しも「このままこの会社でいいのかな」を思わざるを得ません。この場合の退職の伝え方ですが、今の会社があなたの「実績を正当に評価してくれない」「実績を報酬に反映してくれない」という状況ですので、これをもとに、ではどういう環境や条件だったら次転職をしたいか、という目的を考えるようにしましょう。例えば
「今の仕事は自分自身を大きく成長でき、お客様とも関係性ができているのですが、結婚をきっかけに、今後はマイホームの購入を考えており、もっと自分の実績が反映されるような会社でチャレンジしてみようと思うようになりました」
と伝えるようにしましょう。大切なのは、今の会社の不満をいうのではなく、今の会社で学んだことと今後の転職の目的を一緒に伝えることです。
出世が見込めない
会社の特性上、家族経営をしているため、将来的な出世が見込めないという人や、会社のポストが既に埋まっていて、出世を狙っているが空きがないという人は、今後の出世が見込めないということで退社を考えると思います。その場合は、「出世」という言葉をそのまま伝えるのではなく、出世という言葉を「チャンス」「可能性」「裁量」という言葉で変換をして
「もっとチャンスを与えてもらえるような職場でチャレンジしたいと思うようになりました」
「もっと自分自身が裁量をもって、仕事ができるような職場でチャレンジしたいと思うようになりました」
「もっと自分自身の可能性を活かして、裁量の大きい職場でやってみたいと思うようになりました」
と伝えるようにしましょう。そうすることで現職の会社にたいしてもネガティブな印象をもたれずに円満退職ができる可能性が高いです。言葉の使い方に充分注意しましょう。
成長が実感できない
同じようなルーチンの業務をこなしていく人にありがちな退職理由の1つです。今の業務ではある程度、一人前として仕事もできており、昔よりも効率的に無意識でも業務をすることができるようになっているものの、仕事をすることで「自身が成長しているのかどうか実感できない」という人もなかにはいます。この場合、今の仕事では成長している実感がないのであれば、どういう仕事、環境であれば成長が実感できるのか?ということを考えましょう。伝え方としては
「今の仕事には充実感を感じておりますが、今の仕事だけでなく、人を育てたり、教えるという分野に挑戦してみたいと思うようになり、退職を考えています」
「会社に対しても仕事に対しても、満足はしておりますが、もっと自分自身の裁量が多い職場で、自分のアイデアを活かした業務をやってみたいと思うようになり、退職を考えています」
「今の業務に関しては自分自身のやり方が確率しており、やりやすいのですが、もっと試行錯誤をしたり、目標をどうすれば達成できるのか?という過酷な環境で自分自身を置いてみたいと思うようになりました」
というように、自分がどんな環境でどんな仕事であれば満足するのかを具体的に伝えるようにしましょう。
キャリアアップができない
キャリアアップというと、年収が上がること、役職に就くこと、仕事の質が上がることというイメージを持っている人も多いと思いますが、キャリアアップと一言にいっても、それ以外にも様々な意味合いがあります、例えば自分が行っている仕事の経験値を増やしていくこともキャリアアップとも言えますし、業務を通じて、身に付いていなかった能力やスキル、知識を身につけていくこともキャリアアップです。いずれにしても、キャリアアップができないという理由で退職をされる人は今の職場環境では頭打ちの状態といってもよいでしょう。その場合の伝え方としては「キャリアアップしたい」というのではなく、具体的にあなたにとってどういうことがキャリアアップになるのかを分析し、伝えるようにしましょう。
「今の立場で学べることはたくさん学ばせていただきましたが、今度は●●の立場というのを経験したいという想いがつよくなり、そのような環境で働けるところへ転職を考えています」
「今の仕事ではある程度、自分自身ができることが多く、充実感もそれなりに感じていますが、●●の業務を行ったのをきっかけに●●に関して専門的に仕事をしたいと思うようになりましたので転職を考えています」
というように、単純にキャリアアップがしたいということではなく、具体的にどんな会社のどんな環境で仕事をしたいのかを明確に伝えるようにしましょう。
【勤務地/転勤に関する退職理由】
急な転勤を言われた
会社員であれば、急な人事異動や、縁もゆかりもないところに異動を告げられることがあると思います。事前に言われていたり、自分から志望したケースであれば問題はありませんが、そうではないケースがたくさんあります。例えば「転勤してまだ1年しか経っていないのに、また転勤することになった」 「入社時に転勤はないと言われていたが、結果的に転勤の辞令がきた」というようなケースです。この場合「急に転勤を言われたので退職します」とストレートに言うより、転勤を言われたことによって不都合が生じた訳ですので、その理由もあわせて伝えるようにしましょう。
「母が身体を悪くしておりまして、毎日という訳ではないのですが、週に2回程度は様子を見に行っており、私しか母をみることができない状況ですので、地元の企業で腰を据えて働きたいと思いました」
上記のような理由があれば、職場には言いやすいですが、これといって理由はないものの友人や恋人と離れたくないので転勤がイヤなケースもあると思います。その場合は、「転勤がいやだ」というのではなく、転職をする他の目的を探しましょう。例えば「もっと上流の仕事に携わりたい」「もっとチームの中で切磋琢磨できる環境で働きたい」「もっと●●の業務に特化して仕事を行っていきたい」などの理由です。転職理由は必ずしも本音を伝えなければいけないということはありません。転職をきっかけに「●●したい」と思ったことをメインの理由にしてもOKです。工夫をしながら伝えてみてください。
通勤に時間がかかりすぎる
入社前にある程度、通勤時間は考慮していたつもりではあるが、実際に通勤してみると正直厳しいと思うようになったケースもあれば、職場の移転や転勤などで通勤に時間がかかるようになってしまったという人も多いと思います。このケースは通勤に時間がかかりすぎることで、どんな影響がでてきているかということを分析し、それをどういう風に変えていきたいと思っているかをしっかりと伝えるようにしましょう。
「子供ができるまでは通勤に関して何とも思わなかったのですが、子供の送り迎えを考えた時に、毎日時間がギリギリで焦りながら出社することが多くなりました。そのせいで子供に対して厳しい対応することが多く、もっと余裕をもって接してあげたいと思うようになり、もう少し自分自身が余裕をもって仕事と育児を両立できるような環境で仕事をしたいと思うようになりました」
というように、具体的な理由に加え、今後はどういう環境で仕事をしたいと思っているかということを明確に伝えるようにしましょう。
転勤が多い
業界や職種にもよりますが、一般的に人事異動のタイミングは短くて3〜5年、長いケースで5〜8年程度です。しかし、急な人事異動などで結果的に1〜3年おきに転勤の辞令がある場合、家族の反対などもあり、退職を考える人もいらっしゃいます。このケースでは転勤が多いことにより、もたらされている弊害について具体的に述べた上で、今後どのような環境、仕事で業務をしていきたいかを伝えるようにしましょう。
「私には子供がおりますが、妻や子供も新しい環境に変わることに対して、かなりの抵抗感を持っています。私自身も腰を据えてじっくりと業務やお客様と対応できるような職場で働きたいと思っていますので、これを機に転職をしたいと考えております」
ここでのポイントも、今後どのような職場、環境で仕事をしたいかという目的です。しっかりと伝えるようにしましょう。
海外赴任を命ぜられた
グローバル企業で働いていると、海外赴任の可能性がありますが、グローバル展開をしている企業は、現在だと大手だけではなく、中小企業でもアジアを含めた海外に販路を拡大している企業が増えています。そうした中で、急に海外赴任を命ぜられ、家族も含め、海外での生活に不安を感じ、転職を考えているという人もいるでしょう。その場合は、海外赴任を受けることの理由や不都合になることをまとめ、今後どのような環境で仕事をしていきたいかを明確に述べるのがポイントです。
「海外赴任に関しては家族も含め話し合いましたが、家族全員が今の環境を変えたくないという強い意志がありました。私自身、家族との時間を大切にしていきたいという思いがありますので、単身での海外赴任という選択肢ではなく、家族との時間を大切にしながら、1つのところでじっくり腰を据えて業務ができるような職場環境のところへ転職を考えております」
上記の通り、具体的な理由と今後の目的について伝えるようにしましょう。
単身赴任になるため
こちらも上記の海外赴任のケースと同じです。単身赴任になることの弊害を伝えつつ、今後の転職の目的も伝えるようにしましょう。
「今回の転勤に関しては家族も含め話し合いましたが、家族全員が今の環境を変えたくないという強い意志がありました。私自身、家族との時間を大切にしていきたいという思いがありますので、単身赴任という選択肢ではなく、家族との時間を今まで通り大切にしながら、1つのところでじっくり腰を据えて業務ができるような職場環境のところへ転職を考えております」
「現在、母の介護が必要な状況です。私を含め、兄妹が3人おりますが、3名でシフトを組むような形で休日や仕事が終わった日に誰かがサポートをするような体制を組んでいます。転勤をしてしまうと、母の介護ができないということもありまして、母の介護と両立できる職場への転職を考えています」
上記の例のように、あなたが単身赴任ができない理由をしっかりと伝えるようにしましょう。
【仕事内容に関する退職理由】
仕事内容が思っていたイメージと違うかった
仕事内容が思っていたイメージと違っていたという場合は、そのまま伝えると、それは入社前に伝えた、聞いていないという「言った言わないのトラブル」になる可能性があります。
お客様と関わりがあると思っていたが、実際はそうではなかったという場合は
「もっとお客様と自分から関わっていけるような仕事をやってみたいと思った」
というようにポジティブに変換して伝えましょう。今の会社のやり方を否定するのではなく、「●●したい」という変換をすると良いでしょう。
やりたい仕事に携わることができない
今の仕事に不満がある訳ではないのものの、将来●●の業務や●●の役職に就きたいと思っているが、現職ではそのようなことに携われそうにない場合、退職を考える人も多いと思います。その場合は、すぐに退職を考えるよりも、現職で本当にその仕事に関わることができないか、上司との面談の際などを利用して上司に真剣に相談してみましょう。上司に相談し、自分の意思や決意を伝えると、意外と上司が経営陣にかけあってくれて、将来的に自分の意向を応えてこともあります。自分の思い込みで軽々と退職を口にすることがないようにご注意ください。現職でどうしてもやりたい仕事につけない場合は
「今の業務でもやりがいがあり、満足をしているのですが、●●をきっかけに、●●の業務がしたいを強く思うようになりました」
と伝え、ネガティブな印象にならないように気をつけましょう。
やりたくない仕事を任された
会社員であれば、人事異動で仕事内容が変わることが多々あります。入社当初に任せられていた仕事は、やりがいがあり、充実感を感じることができていたが、仕事内容が変わることで、やる気が起こらなくなったという方もいらっしゃると思います。しかし、自分がやりたくない仕事なので、退職を考えるという短絡的な考えは甘く、もっと努力ができる可能性があります。特に若い方がそのように短絡的に考える傾向にありますので、今の仕事は本当に自分にとって価値がないのか?ということをしっかりと考えた上で、まずは数年間は一生懸命にその仕事に取り組んでみることです。そうすることによって、「意外とここが面白い!」「興味がわいてきた!」ということも多いものです。まずは自分で努力してみるということをするようにしましょう。自分で努力してみても、今の仕事の面白みや大切さがわからないという方は、人事や上司に「自分がこの仕事を任された理由」ということを具体的に確認してもよいでしょう。
人事異動の希望を出し、上司にも相談したが、それでもどうしても退職を考えるという場合は、やりたくない仕事を行う中で身に付いた能力やスキルを分析した上で、自分が今後どのような仕事をしたいかを明確に伝えましょう。
「今の仕事ではお客様に臨機応変に対応する力や、論理的に物事を整理していく力を養うことができ、自分自身非常に勉強になりましたが、もともと●●の業務を行いたいという想いがあり、日に日に強くなっていきましたので、今回退職を考えました」
誰のための仕事かが分からない
仕事をしている中で、本来お客様に対してむかうべき仕事をメインとして行うべきであるのに、社内会議がだらだらと長時間に渡っている、会社の上層部に対して事細かな報告書をたくさん書かなければならず、お客様に向かう時間より、会社に報告する内向きの仕事ばかり行っている人に多くありがちな退職理由です。この場合、本質的に大切だと思う仕事ができていない訳ですから、
「もっとお客様と密に接しながら、お客様対応に時間をかけられるような職場で自分の実力を試してみたいと思うようになりました」
というように、今後、どのような環境で仕事をしていきたいかというポジティブな目的を伝えるようにしましょう。
お客様の顔が見えない
この退職理由は、ITのプログラマーなどの技術者で業務が細分化されている仕事をしている人に多い退職理由です。自分自身、一生懸命、朝から夜まで仕事をしているが、完成された商材もわからないし、また、それがどんなお客様のどんな人たちに使われているのかも分からない。そして、次のプロジェクトでまた、言われた通り指示書に従って仕事を行うという日々を送っている人に多い退職理由だと思います。この場合、「お客様の顔が見えない」とストレートに伝えるのではなく
「今の職場のおかげで、プログラミングスキルが上達し、システムを組む基礎を培うことができましたが、もっと自分自身が行っている仕事がお客様にどのように使われているのかが見えるような職場で、仕事をやってみたいと思うようになりました」
と伝えるようにしましょう。今の職場を否定するのではなく、今の職場で学んだことを伝え、プラスαで今後どうしていきたいかを明確に述べるようにしましょう。
上流工程に携わりたい
この退職理由もITなどの技術者の分野で多い退職理由です。IT業界や建設業界などの仕事は、元請けの会社から、下請け、孫請け、ひ孫請け・・・というように仕事をどんどん下の下請け企業におろして行っているケースが多いです。この下請け側で仕事をしていた人が、もっと自分が上流の仕事に携わりたいと思うのです。この場合は
「仕事を受ける側の人間として、受けた仕事を今まで誠実にこなしてきたつもりですが、この仕事を行っているうちに、今後は仕事を発注するような上流工程に携わりたいと思うようになりました。下請けの気持ちがわかる分、そのような仕事を考えており、転職をしたいと思います」
というように、あなたが今後どのようにしていきたいかを具体的に述べるようにしましょう。
業務の全体像を把握できない
大手企業に勤めている方に多い転職理由です。大手企業では仕事を分業制にしているケースが多く、中小企業では一貫して担当するような業務でも効率を重視するために業務を縦割りにしていることの方が多いものです。ですので、分業制で長く仕事をしていると、自分が行っている仕事がいつも一部分にしか過ぎないので、自分が関わっている業務の全体像が把握できず、 仕事の意味や目的を見失うという方がいらっしゃいます。このようなケースであれば、「業務の全体像を把握できていない」という言葉を転職の目的をしてポジティブに変換すれば簡単です。
「今までの業務では効率を上げることを第一に仕事をしてまいりました。自分自身でもある程度しっかりと業務ができるようにはなりましたが、今後は始めから終わりまで一貫してお客様と関わる環境で自分を成長させてみたいと強く思うようになりました」
なぜ退職をしたいか、その目的についてもしっかりと伝えるようにしましょう。
商材やサービスに自信が持てない
自分の会社が提供している商材やサービスが後発品で、ライバル会社と比較しても、大きな違いがなく、自分自身が商材、サービスに魅力を感じることができないという営業や販売の方に多い退職理由です。この状態にある人は、物事を短絡的にネガティブにみてしまう傾向がありますので、まず、そうなっていないかを確認しましょう。自社が扱う商材やサービスが本当に価値がないのか?自分が思い込みすぎているのではないか?自分が工夫できることがまだあるかもしれない!というような観点でもう一度見直すことが必要です。
その作業を踏まえ、それでも自分自身がお客様に提案するときに自信が持てないのであれば、どういう商材、サービスであれば自分が自信を持ってお客様に提案できるかを考えましょう。
「今の仕事ではお客様と関係構築をする力を身につけることができましたが、今後はコンサルティングのように形のないものをお客様のニーズを把握した上で自分の提案によって提供したいという想いが強くなりました」
【雇用形態/その他に関する退職理由】
雇用形態が正社員ではない
契約社員やパート、アルバイトで働いている人は、雇用期限の定めがない正社員の雇用形態に変わりたいと思っている人が多いと思います。その場合は、今の企業で正社員になる確率があるかないか、高いか低いかを確認した上で、転職活動をするようにしましょう。現職で正社員になる可能性があるのであれば、上司に「どうすれば正社員になれるか」や「現状、何が足らなくて、何を補えば正社員になれるか」ということを明確に確認することが重要です。その上で、どうしても正社員の道が開けそうにないのであれば、今の企業に
「正社員として安定した雇用形態の上で仕事をやっていきたい」
ということをストレートに伝えてよいでしょう。雇用形態がパート、アルバイト、契約社員から正社員を目指すということに対して異論を唱える人はそれほど多くありません。このケースはそのまま伝えてよいケースです。
家庭の事情
退職理由が家庭の事情で、上司にはどうしても言いにくいことだったとしたら、
「プライベートなので差し控えますが、家庭の事情でどうしても退職したいのですが・・・」
と伝えるようにしましょう。それでも詳しい状況を聞いてきたら、「母の病気の件で・・・」と少し濁しながら伝えるとよいでしょう。
独立を考えている
会社員として仕事をしているが、前々から独立をしたいという方は、そのまま独立を考えているということを伝えるようにしましょう。ただし、現在の会社と競合になってしまうようなケースは伝え方に注意が必要です。会社側からしたらお客様は会社の資産です。そのまま独立する時にお客様を全部もっていくということがないように注意しましょう。
「元々●●の分野で独立を考えておりました。自分自身、チャレンジしたいという思いが日に日に強くなり、今回、一念発起で独立をしようと思っています。」
円満退職をするためには、最後まで誠実に対処することが必要です。今の会社にもしっかりと配慮をして、独立しても良い関係性で仕事ができるように工夫しましょう。
体調(精神的・身体的)を壊した
仕事とは良いことばかりではなく、時にはしんどいことや逃げ出したいことも多々あります。その中で精神的や身体的にバランスが崩れてしまう人も多いと思います。往々にして精神的、身体的に体調を崩してしまう人は真面目な人が多いですが、特にメンタルを崩してしまった時には「自分が弱いからダメなんだ!」と自分を攻撃してしまうのではなく、まずは崩れたバランスを無理に治そうとしないことが重要です。身体的に体調を崩した場合は、周りの人が気づいてくれることが多いので、周りの人に相談してみることや、体調が回復まで、休職の手配をとってくれる会社もありますので、退職のことを伝える前に休職ができないかを先輩や上司に相談するようにしましょう。それでも難しく、どうしても退職をしたいという場合は、ストレートに
「●●の症状がでており、自分でも治そうと努力しておりますが、なかなか回復の兆しがありませんので、一旦退職をして、病状を回復し、今後は●●に関われるような仕事に就きたいと考えております。」
と伝えても良いでしょう。
メンタルのバランスを崩している場合は、周りが気づいていないケースが多いですので、まずは身近な人や信頼をおける人に、自分の状態について話を聞いてもらいましょう。さらに、心療内科などの医療機関に行って、専門家からの指示を仰ぐことが体調の悪化を防ぐ上で大切です。心療内科もピンからキリまでありますし、先生と相性が合わないケースもあります。1つの心療内科に行き、嫌だと思った場合でも、他の心療内科をたくさんまわってみることも大切です。
心療内科の先生でも淡々と症状だけを聞いて、薬を出すだけの人もいれば、じっくりと患者の話を聴いた上で、患者さんの生活スタイルにあった薬や運動を提案 してくれる先生もいます。どの先生があなたと合うか合わないかは実際にあってみないとわかりませんので、諦めずに自分に合った先生に出会うまで、いろんな 病院を回ってみてください。
また、心療内科に行くことに抵抗があるという方も多いと思いますが、体の風邪で近くの診療所に行くのと同様に、心の風邪ととらえて、気軽に心療内科に行ってみましょう。いざ行ってみると、患者さんの多さに驚くものです。長く生きていれば、心に風邪を引くことも当然あるわけですので、特別なことをとらえるのではなく、風邪で近くの診療所に行くように、早めに診療内科に行って、専門家からの診察を受けるようにしてください。
専門の先生の診察を受け、今の仕事をそのまま続けてもよいか相談をして、退職をするかを決めるのがベストです。そうして退職の意思が確定した場合は、信頼できる上司であれば、あなたの症状をそのまま伝えても良いと思います。信頼関係が構築できていない上司であれば、正直に言う必要はありません。「もっと●●の仕事をしたい」「もっと●●に携わりたい」「もっと●●の環境で仕事をしたい」と伝えるのがよいでしょう。いずれにしてもメンタルに支障をきたしている場合は、あまり頑張りすぎないようにしましょう。
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